「更年期になったらもう痩せないんじゃない?」
私自身、40代半ばでそう思い込んでいた時期がある。
むしろ、体重の減少どころか増加、そして何より厄介だったのはリバウンドだった。

それまでの私は、典型的な「短期的に痩せてはリバウンドする」ダイエット迷子。
痩せたい、でも痩せない。痩せても戻る。戻った体重に落ち込む。
この繰り返しを何年続けたのか、正直もう覚えていない。

更年期ダイエットは、ただ食事を減らす・運動を増やすという表面的な話では終わらない。
ホルモン変化、睡眠不足、焦り、失望、代謝の低下、メンタルと自己肯定感の低下。
これらが複雑に絡み合い、痩せる以前に「戦う相手が多すぎる」という状態になる。

◆なぜ更年期になるとリバウンドしやすくなるのか?

ダイエットの現場を見ていると、多くの女性が「更年期=太る運命」と思い込んでいる。
しかし実際には、太るのではなく「太りやすくなる要素が増える」だけであり、
その要素への対処が抜けたまま焦ってダイエットを始めると、結果的にリバウンドしやすくなる。

●エストロゲン低下による代謝の変化

エストロゲンは脂肪燃焼と筋肉維持に関与している。
そのため、更年期になると代謝低下は自然な流れ。
問題は「代謝が落ちているのに若い頃と同じダイエットをする」こと。

●ストレス食い・不眠・イライラの悪循環

更年期特有の情緒不安定は、ダイエットで最も厄介な存在。
ストレス → 食べる → 罪悪感 → 自己否定 → また食べる
これは心理学的に「自己効力感の低下」状態であり、特にリバウンド期間に多い。

●短期ダイエットの成功体験が呪いになる

過去に成功したダイエットほど、後に邪魔になる。
「前は3ヶ月で6kg痩せたのに今回は全然落ちない」と自分を追い込み、
焦って無理をしてリバウンドする。

◆体験談:更年期の壁にぶち当たった私の赤裸々ダイエット実録

私が特にしんどかったのは、40代後半に入った頃だった。
体重は最高で+9kg、ウエストに関してはもう測る気力もなかった。
「痩せたい」と言いながら、冷凍パスタを深夜に食べ、
翌朝に後悔してはサプリを飲む。
今考えれば典型的なリバウンド前提の生活だった。

当時の私は、雑誌のダイエット企画を信じすぎていた。
「1ヶ月で5kg痩せた!」
「簡単に痩せる!」
「お腹凹む!」
こうしたコピーを見ては飛びつき、挫折し、リバウンドした。

更年期は本当に焦る。
痩せたいのに痩せられない自分、太る体、気分の波、眠れない夜。
気づけばダイエットではなく自己否定が目的になっていた。

◆心理学的考察:更年期ダイエットの落とし穴

●落とし穴①「焦りによる短期的目標設定」

心理学では短期&過度な目標設定はリバウンド率を高めるとされている。
なぜなら達成できなかった瞬間に
「自分は意志が弱い」「もう無理だ」
という認知の歪みが生まれるからだ。

●落とし穴②「体型=価値という勘違い」

更年期の女性は役割変動が起きやすい。家庭、仕事、介護など。
その中で「痩せている=価値がある」になりやすい。
これが自己肯定感の依存を生み、ダイエット依存につながる。

●落とし穴③「承認欲求の強化」

特にSNSや同年代女性の会話で比較が激しくなる。
比較はダイエットにおいて最大のモチベーション破壊装置だ。
ストレスから食欲が増す心理は“食行動の逸脱”と呼ばれる。

◆更年期ダイエットを成功させるための改善ポイント

●改善1:リバウンドしない“代謝型ダイエット”に切り替える

更年期は脂肪を燃やすよりも代謝を下げないことの方が価値が高い。
痩せたい女性ほど食事量を減らすが、代謝は不足に敏感。
特にタンパク質不足は筋肉量を削り、リバウンドを加速させる。

●改善2:睡眠の質を上げる

睡眠はダイエットの見えない柱。
睡眠不足はレプチン低下・グレリン増加という食欲ホルモンに直結する。

●改善3:運動は“燃焼”ではなく“回復”として扱う

更年期の運動は強度より継続。
特に浮腫み・筋肉低下・姿勢改善に効果のある低負荷運動が有効。

◆Q&A:更年期ダイエットのリアルな悩みに答える(前半)

Q1:更年期は本当に痩せにくい?

A:痩せにくいが“痩せられないわけではない”。
代謝低下+ホルモン変化+ストレスの組み合わせが問題。

Q2:リバウンドする原因は何?

A:“短期成功の再現”を狙うのが最も多いパターン。
若い頃の成功体験ほど邪魔になる。

Q3:更年期ダイエットで食事は減らすべき?

A:むしろ正しく食べるべき。
特にタンパク質・脂質・ミネラル不足は太りやすさを助長する。

◆赤裸々体験:痩せたいのに痩せない地獄の6ヶ月

41歳の夏、私は本気で痩せたいと思った。
そして始めたのが糖質カット+ウォーキング。
結果、2ヶ月で4.5kg痩せた。
一瞬だけ「勝った」と思った。

しかし秋に入り、仕事のストレスで甘いものを食べ始め、
半年後には+6.8kg。完全にリバウンド。
当時の私は「運動不足が悪い」「更年期が悪い」
と外にばかり原因を求めていた。

今なら分かる。問題は方法じゃなく心理。
更年期ダイエットは心の戦争だ。


— ※第2回(後半)へ続きます。

◆更年期ダイエットのもう一つの敵「思考の癖」

更年期ダイエットは身体だけの問題ではない。
むしろメンタル・思考・認知バイアスの方が深刻だと、多くの相談者を見て気づいた。

特に女性の場合、痩せたい=未来の自分への期待である一方、
リバウンド=過去の失敗の再認識になり、自己肯定感を激しく削る。

心理学的には「快への期待」「痛みの回避」が行動を決める。
しかし更年期はホルモンの影響により、快(成果)の発生が遅れ、痛み(ストレス・焦り)が増える。
このアンバランスが“短期ダイエット依存”を強め、リバウンドを加速させる。

●更年期の脳は「報酬遅延」を嫌う

痩せるには時間がかかる。代謝の低下も加わり、数字の変化が遅い。
しかし脳は報酬遅延に耐えられず、結果が出ない期間が自己否定になる。

ここが落とし穴だ。更年期ダイエットでは“数字の変化”ではなく“行動変化”を指標にすべき。
数字から解放された瞬間、多くの女性が初めて成功し始める。

●更年期の身体は「恐怖による食欲」を持つ

ストレスや不安は食欲を生む。しかも高糖質・高脂質に偏る。
これは進化心理学で生存本能と関連している。

つまり更年期女性が甘いものに手を伸ばすのは、意志の弱さではなく構造的な反応なのだ。

◆体験談:数字に支配されていた頃の私

私は長い間、体重と体脂肪率の数字で自分を評価していた。
朝起きてすぐ測定し、0.5kg増えただけで気分が沈む。
その日一日の食事も運動も、全て数字の奴隷だった。

そして数字が増えるたびに
「私はダメだ」「やっぱり更年期は無理だ」「痩せたいのに痩せない」
とセルフトークが加速し、結果として暴食し、リバウンドした。

後から考えると、数字は事実ではなく“感情の引き金”だった。
最終的に数字を一度手放したことで、私は初めて本物のダイエットに向き合えた。

◆更年期とリバウンドを止める「戦略型ダイエット」

更年期ダイエットで大事なのは戦略だ。
若い頃のように勢いと根性では痩せない。
戦略とは「順番」「優先度」「自分の身体の特性」を踏まえた設計のこと。

●ステップ1:リバウンドの原因分析

私自身のリバウンド理由はこうだ:

  • 焦って短期間に痩せようとした
  • 糖質を極端に抜いた
  • タンパク質不足で筋肉が減った
  • 睡眠が浅く食欲ホルモンが狂った
  • SNS比較で自己肯定感が下がった
  • 数字で自分を評価した

特に「焦り+短期痩せ」のコンボは危険で、
更年期のリバウンド女性のほぼ9割が経験している。

●ステップ2:代謝+回復の設計

更年期は代謝を“上げる”より“落とさない”が正解。
そのために以下を重視した:

  • タンパク質の最低ライン設定
  • 脂質の意図的摂取(ホルモン材料)
  • 極端な糖質カットを禁止
  • 夜の軽い散歩で浮腫み除去
  • 睡眠の回復システム強化

これで初めて体重の落ち方がストレスではなく“自然”になった。

●ステップ3:心理設計

更年期ダイエットの大半は心理戦だ。

私は次をやった:

  • 数字評価を行動評価に置き換える
  • 比較行動を遮断(SNS断ち)
  • 自己否定を観察して停止
  • 短期成功を忘れる
  • 進歩を日常行動で測る

特に“短期成功の忘却”は重要。
過去の成功体験ほど未来の失敗を生む。

◆再び赤裸々体験:更年期ダイエットで初めて泣いた夜

49歳、冬。
私は一度だけ泣きながらウォーキングした日がある。
体重が思った通りに動かず、鏡を見るのが苦痛で、
痩せたいのに痩せられず、自分の身体が自分のものじゃない感覚だった。

でもその日の帰り道、ふとこう思った。
「私は何に負けようとしてるんだろう?」

その瞬間、私のダイエットは体重の勝ち負けではなく、
人生の手綱を取り戻す戦いだと気づいた。

更年期ダイエットは“痩せる”ではなく“自分を取り戻す”。
この認識で初めて私は続けられた。

◆Q&A(後半):更年期女性のリアルすぎる質問

Q4:痩せたいのに気力が出ない

A:気力が出ないのは怠けではなくホルモン。
まず気力ではなく“仕組み”で動く設計に切り替えるといい。

Q5:更年期の運動は何が正解?

A:“強度ではなく回復”が正解。
特に浮腫み排出と筋肉維持。

Q6:リバウンドを止めるには?

A:短期ダイエットをやめること。
心理+代謝+睡眠が揃うとリバウンドは止まる。

Q7:痩せたい気持ちが空回りする

A:更年期は数字より自己一致感が大事。
痩せたい理由を“他人基準→自分基準”に戻すだけで成功率が上がる。

◆更年期で痩せた人と痩せない人の差

ダイエット指導をしていて明確にあった差がある。

●痩せる人の特徴

  • 短期より継続を選ぶ
  • 自己否定より分析
  • 睡眠を軽視しない
  • タンパク質と脂質を減らさない
  • 数字を評価指標にしない

●痩せない人の特徴

  • 急ぐ
  • 食事を削る
  • 運動で燃焼を狙う
  • リバウンドの構造を知らない
  • SNSで比較する

更年期ダイエットの情報は表面的過ぎる。
“どう痩せるか”より“なぜ戻るか”を扱うべきだ。

◆まとめ:「更年期でも痩せたい」を諦めなくていい

更年期は痩せにくい。これは事実。
しかし更年期は痩せられない。これは誤解だ。

私がやっと分かったのは、ダイエットは数字や方法ではなく“自分の扱い方”だということ。
焦り、比較、リバウンド、自己否定。
そのどれとも戦いながら、私たちは生きている。

更年期でも痩せたい気持ちは自然だ。
むしろその気持ちこそ、自分の人生の主導権を取り戻すプロセスだ。

私は今、あの頃の自分にこう言いたい。
「諦めるのではなく、方法を変えろ」と。


以上で記事の後半です。